「ねえ、一緒に夏祭り行かない?」
「「ん?」」
夏休みを間近に控えたある日の放課後。わたし、木沢真夜が声をかけると、二人の男子がそろってこっちを振り向いた。
岡田勝正くんと、広瀬流星くん。それぞれ、賑やかで騒がしいタイプと、静かでクール男子ってタイプの、性格は全然違う二人。だけど小学生の頃からなにかと仲がよくて、それは中学生になった今でも変わらない。
「夏祭りって、今度近くの神社であるやつだろ。あんまり興味ねえな」
ちょっぴり面倒そうにいう岡田くん。だけどそこで、魔法の言葉を言ってみる。
「わたしだけじゃなくて、モモちゃんも来るんだよ」
「なに?」
「新しい浴衣買ったから、着てくるって言ってたよ」
「ゆ、浴衣……」
岡田くんの顔色が、わかりやすいくらい変わっていく。さらにその隣で、私の目的に気づいたのか、広瀬くんが援護するように言ってくる。
「俺は、行ってみようかな。勝正はどうする?」
「そ、そうだな。どうせその日はやることもないし、行ってみてもいいかな」
「じゃあ、決まりだね」
これで、二人とも夏祭りに行くの決定。
だけど、話はこれで終わりじゃない。むしろこれからが本番だ。
「よし。そうと決まれば早速作戦会議をしよう。二人とも、ついてきて」
「はぁ? 作戦会議って、夏祭り行くのになんでそんなことするんだよ」
「いいからいいから。悪いようにはしないって」
困惑する岡田くん、それに広瀬くんを連れて、わたしは近くの空き教室に入っていく。そこには、既に一人の女の子が待機していた。
わたしの友だちの、中井涼子ちゃんだ。
「涼子ちゃん。予定通り、岡田くん連れてきたよ」
「ありがとう真夜ちゃん。これで作戦を進められるね」
「まて、さっきから言ってる作戦ってなんだよ。俺はいったい何をされるんだ!」
未だに状況が理解できずに、声をあげる岡田くん。一方広瀬くんの方はというと、それを冷静な顔で見つめていた。
「俺は、どういうことかだいたい想像がついたけどな。木沢に中井。二人が張り切ってて、さらに勝正に関係することって言ったら、遠野のことしかないだろ」
「おおっ、さすが広瀬くん。正解だよ」
広瀬くんの言う遠野ってのは、涼子ちゃんと同じく、わたしの友だちの遠野桃花ちゃん。さっき岡田くんに話した、モモちゃんのことなんだ。
わたしと、涼子ちゃんと、モモちゃんの、女子三人組。それに、岡田くんと広瀬くんの男子コンビは、前からなにかと一緒に遊んだり行動したりすることが多かった。
だけど、岡田くんとモモちゃんに関しては、ただの仲良しグループのメンバーっていうのとはちょっと違うの。
モモちゃんは、長い髪にクリッとした目のおっとりした美人さんで、密かに男子からの人気も高い。中でも岡田くんは、何年も前から、ずーっとモモちゃんに片想いをしているの。って、言っても、今のところモモちゃんはその気持ちにちっとも気づいていないけどね。
岡田くんが本気でモモちゃんを好きなんだってのは十分知っているから、いつまでたっても二人の仲が進展しないのは、見てるこっちももどかしくなる。だからわたしと涼子ちゃんは、たま~に協力することにしているの。
今回男子二人を夏祭りに誘ったのも、そのひとつ。
「夏祭りといえば、恋が進展する定番だって、少女マンガにも書いてあるんだから。わたしや涼子ちゃんや広瀬くんが力を貸して、ずーっと片想いしてるのに、気づいてすらもらえないかわいそうな岡田くんの恋がうまくいくよう協力するの。名付けて、夏祭りのキューピッド作戦!」
「かわいそうで悪かったな! けどまあ、協力してくれるなら、助かる」
恥ずかしがりながら、それでもなんとかうなずく岡田くん。するとその隣では、広瀬くんがボソリと呟いていた。
「俺が手伝うのは決定事項なんだな」
「うん。広瀬くんなら協力してくれると思ってたんだけどダメ?」
「まあ、こうなるような気はしてたからな。別にいいよ」
「ほんと? ありがとう!」
勝手に頭数に入れてごめんね。だけど男子の意見だってほしいから、協力よろしくね。
「「ん?」」
夏休みを間近に控えたある日の放課後。わたし、木沢真夜が声をかけると、二人の男子がそろってこっちを振り向いた。
岡田勝正くんと、広瀬流星くん。それぞれ、賑やかで騒がしいタイプと、静かでクール男子ってタイプの、性格は全然違う二人。だけど小学生の頃からなにかと仲がよくて、それは中学生になった今でも変わらない。
「夏祭りって、今度近くの神社であるやつだろ。あんまり興味ねえな」
ちょっぴり面倒そうにいう岡田くん。だけどそこで、魔法の言葉を言ってみる。
「わたしだけじゃなくて、モモちゃんも来るんだよ」
「なに?」
「新しい浴衣買ったから、着てくるって言ってたよ」
「ゆ、浴衣……」
岡田くんの顔色が、わかりやすいくらい変わっていく。さらにその隣で、私の目的に気づいたのか、広瀬くんが援護するように言ってくる。
「俺は、行ってみようかな。勝正はどうする?」
「そ、そうだな。どうせその日はやることもないし、行ってみてもいいかな」
「じゃあ、決まりだね」
これで、二人とも夏祭りに行くの決定。
だけど、話はこれで終わりじゃない。むしろこれからが本番だ。
「よし。そうと決まれば早速作戦会議をしよう。二人とも、ついてきて」
「はぁ? 作戦会議って、夏祭り行くのになんでそんなことするんだよ」
「いいからいいから。悪いようにはしないって」
困惑する岡田くん、それに広瀬くんを連れて、わたしは近くの空き教室に入っていく。そこには、既に一人の女の子が待機していた。
わたしの友だちの、中井涼子ちゃんだ。
「涼子ちゃん。予定通り、岡田くん連れてきたよ」
「ありがとう真夜ちゃん。これで作戦を進められるね」
「まて、さっきから言ってる作戦ってなんだよ。俺はいったい何をされるんだ!」
未だに状況が理解できずに、声をあげる岡田くん。一方広瀬くんの方はというと、それを冷静な顔で見つめていた。
「俺は、どういうことかだいたい想像がついたけどな。木沢に中井。二人が張り切ってて、さらに勝正に関係することって言ったら、遠野のことしかないだろ」
「おおっ、さすが広瀬くん。正解だよ」
広瀬くんの言う遠野ってのは、涼子ちゃんと同じく、わたしの友だちの遠野桃花ちゃん。さっき岡田くんに話した、モモちゃんのことなんだ。
わたしと、涼子ちゃんと、モモちゃんの、女子三人組。それに、岡田くんと広瀬くんの男子コンビは、前からなにかと一緒に遊んだり行動したりすることが多かった。
だけど、岡田くんとモモちゃんに関しては、ただの仲良しグループのメンバーっていうのとはちょっと違うの。
モモちゃんは、長い髪にクリッとした目のおっとりした美人さんで、密かに男子からの人気も高い。中でも岡田くんは、何年も前から、ずーっとモモちゃんに片想いをしているの。って、言っても、今のところモモちゃんはその気持ちにちっとも気づいていないけどね。
岡田くんが本気でモモちゃんを好きなんだってのは十分知っているから、いつまでたっても二人の仲が進展しないのは、見てるこっちももどかしくなる。だからわたしと涼子ちゃんは、たま~に協力することにしているの。
今回男子二人を夏祭りに誘ったのも、そのひとつ。
「夏祭りといえば、恋が進展する定番だって、少女マンガにも書いてあるんだから。わたしや涼子ちゃんや広瀬くんが力を貸して、ずーっと片想いしてるのに、気づいてすらもらえないかわいそうな岡田くんの恋がうまくいくよう協力するの。名付けて、夏祭りのキューピッド作戦!」
「かわいそうで悪かったな! けどまあ、協力してくれるなら、助かる」
恥ずかしがりながら、それでもなんとかうなずく岡田くん。するとその隣では、広瀬くんがボソリと呟いていた。
「俺が手伝うのは決定事項なんだな」
「うん。広瀬くんなら協力してくれると思ってたんだけどダメ?」
「まあ、こうなるような気はしてたからな。別にいいよ」
「ほんと? ありがとう!」
勝手に頭数に入れてごめんね。だけど男子の意見だってほしいから、協力よろしくね。


