【関東誠勇会・車列】
深夜の高速道路を
5台の黒いセダンが疾走していた
本部での襲撃を生き延びた坂上と15人の幹部たち
彼らは今決戦の地横浜へと向かっている
車内は重い沈黙に包まれていた
誰も口を開かない
ただ静かに銃の弾倉を確認したりドスを握りしめたりしている
彼らの目には怒りとそして死の覚悟が宿っていた
先頭車両の後部座席
組長の坂上 誠は窓の外を流れていく東京の夜景をただ静かに見つめていた
やがて彼は誰に言うでもなくぽつりと呟く
「……今日は長い夜になりそうだな」
【横浜中華街】
そこはまさに戦場だった
煌びやかだったはずの中華街の門は
無数の弾痕で蜂の巣にされている
路上には炎上し黒焦げになった車
割れた店の窓ガラス
そしてアスファルトの上に転がるおびただしい数の死体死体死体
CTの構成員のものか
あるいは関東誠勇会の組員のものか
もうその区別もつかなかった
硝煙と血の匂いが街全体を支配している
そんな地獄の中心に坂上たちの5台の車が到着した
キーッという甲高いブレーキ音
「行くぞ!」
坂上の号令
5台の車のドアが一斉に開かれた
中からドスや拳銃ショットガンで武装した15人のヤクザたちが飛び出してくる
彼らはこの地獄を生き残った精鋭中の精鋭だった
坂上はその先頭に立つ
そして天に向かって咆哮した
「CTを完膚なきまでに叩きのめせぇっ!」
「「「おおおおおぉぉぉっ!!」」」
15人の雄叫びが夜の中華街に木霊する
坂上もまた拳銃を片手にその戦場のど真ん中へとその身を投じた
伝説のヤクザ
その最後の戦いが今始まった



