「みおちゃんと、婚約することになった」

「……え?」


……あれ、退学じゃないんだ……いや、そうじゃなくてっ……。


「婚約……?な、何言ってるの?」


確かに、由良くんは財閥の一人息子。とってもお金持ちなのは、知ってる。でも……平凡なうちの家と、どうして婚約……?

聞き間違い、だったのかな?



「そのままの意味だよ」

「わたし、いやだっ……由良くんと、婚約したくないっ……」


そう言って目を逸らすと、ぎゅっと手首を握られた。



「……ねぇ、美緒」

「っ……」

「もう一回聞くね、婚約することになった」



どうしよう、こわいっ……。


逆らうことなんて、許されないみたいだ。




「由良く……」


ほっぺたに触れたて、気がついたら由良くんの唇が重なる。


ファーストキスは、由良くん以外の人がよかったのにっ……。