──結局その⽇は地下で⼀夜を過ごした。 四⼈も⼊れば些か狭く感じるこの部屋の中では誰ひとり話すこともなく、ただ遠くの⽅から聞こえてくる爆⾳を聴きながら時が経つのを待っていた。外が明るくなる頃には⾶⾏機の⾳も聞こえなくなっており、代わりに通⾵⼝からはいつもの穏やかな朝を告げる⿃の声が⼊ってくる。
「外を⾒てきます」
それだけ⾔い残した⼩野⽊はすっと⽴ち上がり上階へ向かった。ほんの僅かに残った⽔差しの⽔⾯が揺れている。地下壕の中は静寂で、幸枝の⽿の奥では先ほど⼩野⽊の⾔った⾔葉の余韻が反響し続けているのみであった。暫くすると上階から沢⼭の⼈の⾜⾳が聞こえてきた。そのうち、 聞き慣れた⾜⾳が戻ってくる。
「此処は安全です。外へどうぞ」
幸枝は留守居に促されるまま上階へと上がった。
「お早う御座います」
⽬先には私服姿ながらもいつもの使⽤⼈らの姿があった。広間に使⽤⼈らの朝の挨拶が響き、普段通りの屋敷の⽣活が再開されようとしている。広間を⾒渡しても、⽞関に⾏っても、 床は綺麗に磨かれ、 物は整頓され、 本当に何気ない⽇常のままであった。使⽤⼈⻑は客⼈の姿を⾒てさっと前へ出て⼀礼する。
「伊坂様、お早う御座います。只今朝⾷の⽀度を始めますので、 少々お待ちください。お⽀度が済みましたら居間へどうぞ、お茶をお淹れいたします」
「はあ、どうも有難う……」
幸枝は⼀度⾃室へ戻り、適当な服に着替えることにした。
使⽤⼈⻑は客⼈が階段を上り切ったのを⾒て即座に⾨番と⼀⼈の使⽤⼈を呼びつける。
「外を⾒てきます」
それだけ⾔い残した⼩野⽊はすっと⽴ち上がり上階へ向かった。ほんの僅かに残った⽔差しの⽔⾯が揺れている。地下壕の中は静寂で、幸枝の⽿の奥では先ほど⼩野⽊の⾔った⾔葉の余韻が反響し続けているのみであった。暫くすると上階から沢⼭の⼈の⾜⾳が聞こえてきた。そのうち、 聞き慣れた⾜⾳が戻ってくる。
「此処は安全です。外へどうぞ」
幸枝は留守居に促されるまま上階へと上がった。
「お早う御座います」
⽬先には私服姿ながらもいつもの使⽤⼈らの姿があった。広間に使⽤⼈らの朝の挨拶が響き、普段通りの屋敷の⽣活が再開されようとしている。広間を⾒渡しても、⽞関に⾏っても、 床は綺麗に磨かれ、 物は整頓され、 本当に何気ない⽇常のままであった。使⽤⼈⻑は客⼈の姿を⾒てさっと前へ出て⼀礼する。
「伊坂様、お早う御座います。只今朝⾷の⽀度を始めますので、 少々お待ちください。お⽀度が済みましたら居間へどうぞ、お茶をお淹れいたします」
「はあ、どうも有難う……」
幸枝は⼀度⾃室へ戻り、適当な服に着替えることにした。
使⽤⼈⻑は客⼈が階段を上り切ったのを⾒て即座に⾨番と⼀⼈の使⽤⼈を呼びつける。



