すっかり⾜元が竦み、幸枝はただその遠くで燃える市街地を⾒るほかなかった。これが空襲かという気持で爆撃を⽬の当たりにしている彼⼥であったが、突然扉の開かれた⾳でカーテンから咄嗟に⼿を離し振り返る。
「……伊坂様、階下へ⾏きましょう」
扉の前に居たのは⼩野⽊であった。幸枝は思わず⼩野⽊の腕に⼿を伸ばし、不安気な顔を⾒せる。
「⼤丈夫です、我々がお守りいたします。さあ、⾏きましょう」
⼩野⽊は客⼈の⼿を引いて地下へ向かう。この屋敷には地下壕があり、 空襲警報が出ては留守居や使⽤⼈、客⼈諸共そこへ退避していた。地下壕と⾔っても、ただの⼩部屋と遜⾊ないほどのありふれた空間である。地下壕にはすでに留守居の⼆⼈が⽑布を持って逃げ込んでいた。
「⽔しかありませぬが、どうかお召し上がりください」
留守居のはつは呆然とする客⼈の様⼦からきっと爆撃の様⼦を⾒たのだと考え、⽔を差し出した。⾨番に肩を⽀えられたまま座る客⼈はゆっくりとコップを受け取り、顎を傾けている。
「……伊坂様、階下へ⾏きましょう」
扉の前に居たのは⼩野⽊であった。幸枝は思わず⼩野⽊の腕に⼿を伸ばし、不安気な顔を⾒せる。
「⼤丈夫です、我々がお守りいたします。さあ、⾏きましょう」
⼩野⽊は客⼈の⼿を引いて地下へ向かう。この屋敷には地下壕があり、 空襲警報が出ては留守居や使⽤⼈、客⼈諸共そこへ退避していた。地下壕と⾔っても、ただの⼩部屋と遜⾊ないほどのありふれた空間である。地下壕にはすでに留守居の⼆⼈が⽑布を持って逃げ込んでいた。
「⽔しかありませぬが、どうかお召し上がりください」
留守居のはつは呆然とする客⼈の様⼦からきっと爆撃の様⼦を⾒たのだと考え、⽔を差し出した。⾨番に肩を⽀えられたまま座る客⼈はゆっくりとコップを受け取り、顎を傾けている。



