寒さがほんの少し和らいだ昼下がり、客人をもてなす特別なものが用意されているらしい。喜三郎はお茶の用意ができるまでの間に、幸枝に邸宅の内部を案内して見せることにした。幸枝は喜三郎の後について、あちらこちらを見渡しながら洋館の中を歩いている。
一階にはまず屋敷に入り目にした大広間のような玄関、大きな食卓の上に果物籠の置かれた明るい食堂と、いくつかの調度品が置かれた居間があって、大きなガラス扉の向こうには一面芝生の裏庭、その遠くには際限なく続く森が見える。菅沼夫妻と小野木の部屋も一階で、幸枝には案内されなかったが、台所や風呂もあるだろう。
上階も階下と同じアラベスクの絨毯の廊下があり、その両脇にマホガニーの扉と壁掛けのランプがいくつか置かれている。二階には七つの大小様々の部屋があり、そのうちの四つは長津夫妻の部屋、長男の部屋、次男の部屋、三男と四男の部屋として使われているらしく、ひとつは長女のために空けてあるが使われないまま、残った客間は二部屋となっている。
幸枝の部屋として充てがわれたのは夫妻の部屋の向かいにあるところで、格子窓の向こうには収穫を終えたばかりの広大な果樹園が延々と続いている。部屋には小さなコンソールテーブルと一人掛けのソファーに、扉と同じ焦茶色のマホガニーの書斎机とクローゼット、そして大きなベッド。この邸宅は外から中まで重厚で落ち着いた装飾で、気品の感じられる場所である。
一階にはまず屋敷に入り目にした大広間のような玄関、大きな食卓の上に果物籠の置かれた明るい食堂と、いくつかの調度品が置かれた居間があって、大きなガラス扉の向こうには一面芝生の裏庭、その遠くには際限なく続く森が見える。菅沼夫妻と小野木の部屋も一階で、幸枝には案内されなかったが、台所や風呂もあるだろう。
上階も階下と同じアラベスクの絨毯の廊下があり、その両脇にマホガニーの扉と壁掛けのランプがいくつか置かれている。二階には七つの大小様々の部屋があり、そのうちの四つは長津夫妻の部屋、長男の部屋、次男の部屋、三男と四男の部屋として使われているらしく、ひとつは長女のために空けてあるが使われないまま、残った客間は二部屋となっている。
幸枝の部屋として充てがわれたのは夫妻の部屋の向かいにあるところで、格子窓の向こうには収穫を終えたばかりの広大な果樹園が延々と続いている。部屋には小さなコンソールテーブルと一人掛けのソファーに、扉と同じ焦茶色のマホガニーの書斎机とクローゼット、そして大きなベッド。この邸宅は外から中まで重厚で落ち着いた装飾で、気品の感じられる場所である。



