「幸枝さん、⼤丈夫か」
「ええ?……ええ、はあ」
下を向いていた幸枝は、ぱっと顔を上げる。
「不安だろう、今⽇御家族に会えなかったのは」
幸枝は再び俯いていたが、やはり硬い笑顔で返す。
「……いいえ、お⽗さまもお兄さまもきっと⽣きているから……私にはその希望が有るだけでも他のかたよりは⼗分救われているのです。不安になんて思っていられません、 私は気丈で居なければならないと……」
正博は暫く何も⾔わず幸枝の物憂げな横顔を⾒つめていたが、その光の挿さぬ眼を⾒ていると居ても⽴っても居られない気持を覚えた。
「君は無理をしてばかりだ。 何かに気を揉んでいても、 ⾟い思いをしていても、それらを全て隠そうとしてしまう。幸枝さんは、俺が過去、君に⾔ったことを憶えているかな」
「……⾟いときは、誰かを頼ること……ですね」
幸枝は頷きながら答えた。
「ああ、そうだ。憶えていたのか」
「ええ、あの時⻑津さんが私に仰ったのと丁度同じことを、 私もよく友⼈や後輩に⾔ったものです。ですから、 当時の不甲斐なさは今でも忘れられません。 普段他⼈に⾔っておきながら、当の本⼈が実践出来ていないとは……全く、⽪⾁なことですね」
⼒なく笑う幸枝を⾒ていられなくなった正博は、膝を突き合わせ細い肩に⼿を添える。
「そう⾃分⾃⾝を責めるな、 君は不甲斐なくなど無い。 俺で良ければ話は聞くが、幸枝さんが話したくないと⾔うのならそれで結構だ」
「ええ?……ええ、はあ」
下を向いていた幸枝は、ぱっと顔を上げる。
「不安だろう、今⽇御家族に会えなかったのは」
幸枝は再び俯いていたが、やはり硬い笑顔で返す。
「……いいえ、お⽗さまもお兄さまもきっと⽣きているから……私にはその希望が有るだけでも他のかたよりは⼗分救われているのです。不安になんて思っていられません、 私は気丈で居なければならないと……」
正博は暫く何も⾔わず幸枝の物憂げな横顔を⾒つめていたが、その光の挿さぬ眼を⾒ていると居ても⽴っても居られない気持を覚えた。
「君は無理をしてばかりだ。 何かに気を揉んでいても、 ⾟い思いをしていても、それらを全て隠そうとしてしまう。幸枝さんは、俺が過去、君に⾔ったことを憶えているかな」
「……⾟いときは、誰かを頼ること……ですね」
幸枝は頷きながら答えた。
「ああ、そうだ。憶えていたのか」
「ええ、あの時⻑津さんが私に仰ったのと丁度同じことを、 私もよく友⼈や後輩に⾔ったものです。ですから、 当時の不甲斐なさは今でも忘れられません。 普段他⼈に⾔っておきながら、当の本⼈が実践出来ていないとは……全く、⽪⾁なことですね」
⼒なく笑う幸枝を⾒ていられなくなった正博は、膝を突き合わせ細い肩に⼿を添える。
「そう⾃分⾃⾝を責めるな、 君は不甲斐なくなど無い。 俺で良ければ話は聞くが、幸枝さんが話したくないと⾔うのならそれで結構だ」



