シンユウノススメ

「メイちゃんは嘘つきだよねぇ」

「嘘って…」

「貯金だって本当はしてないんでしょ?」

「貯金?」

「もっと大きくなったら二人で旅行に行こうねって言ってくれたじゃん。ムギがあげてたお金貯金してた、なんて嘘でしょ?」

「それはっ…」

「ムギね、本当は知ってたんだよ。いじめから助けてくれた日からずっと、ムギがあげてたお金全部、いじめっ子達に流してたよね?」

「なんで知って…」

「見ちゃったの。その現場。いじめなんかやめようって言ってくれたし、あの場ではいじめっ子達も狼狽えてた。でも本当はいつか報復されるんじゃないかってメイちゃんは怖かった。だから卒業するまではお金をあげるから許してって交渉したんでしょ。卒業さえしちゃえば縁を切ることができるからね」

一時的な対処でもそれで十分だった。
ムギたちは今通っているこの私立学園に入学することが決まっていたから。

資産家とか有名な両親の子ども、もしくは恐ろしく頭のいい子しか入学できない。
ムギは完全にお金の力、メイちゃんは成績も良かったし、両親にある程度の財力も認められたから。
母校の小学校から入学できるのはムギとメイちゃんだけだった。

ナオくんとは中学生になってからの出逢いだった。
一般家庭で育ったナオくんは、入試テストでトップだった。

「知ってたのになんで…」

「メイちゃんの言葉を信じたかったから」

「言葉?」

「一緒に旅行に行こうって。その言葉には二人の未来が約束されてたから。嬉しかったの。でも、もう今日で終わりみたいだね」