その声は震えていた。
 目には涙が溜まっていた。

 凛の胸に、何かが決定的に崩れ落ちる。


 「悠翔……」


 抱きしめた。
 任務も、立場も、すべてを投げ捨てて。
 

 「私も怖かった。君が傷つくのが……怖くてたまらなかった」

 「……凛さん」


 ふたりの距離は、もう言葉がいらないほど近かった。

 悠翔が、そっと唇を開いた。


 「僕……凛さんが好きです。
 守られるのも、守ってくれるのも、全部……あなたがいい」

 「……私も。
 護る理由なんて、もう要らない。
 君を愛してる、悠翔」


 その瞬間、ふたりの唇が重なる。
 甘く、熱く、そして確かな、誓いのように。

 この想いは、もう“任務”じゃない。
 この関係は、もう“偶然”じゃない。

 それは――本物の恋になっていた。