「……やめろ!」


 悠翔が、凛の前に立ちはだかった。

 彼の細い腕が、相手のナイフを両手で押さえ込む。


 「……やめてよ! 凛さんに、触るな!」

 「っ、この……!」


 次の瞬間、凛の蹴りが男の腹部に突き刺さる。
 刃は吹き飛び、壁に激突した。

 凛が悠翔の腕を掴み、支えるように抱きとめる。


 「……バカ! なぜ、前に出た!」

 「……だって……凛さんが、傷つくのが……怖かった……」