衝撃が手に走る。
 相手は体格も筋力も上。だが凛の技術と冷静さが、それを補っていた。


 「悠翔、走れ! 警備室まで――!」

 「……嫌だ!」

 「悠翔ッ!!」

 「一人で戦わないで!」


 その叫びに、凛の動きが一瞬だけ止まる。
 だが、その一瞬さえも命取りになりかねなかった。

 刃が凛の肩を狙ってナイフを突き出す――!


 (間に合わない――!)


 ガシッ!