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 それは、6限の授業が終わった直後だった。

 校舎の裏手。悠翔が一人で資料を取りに行く途中、事件は起きた。


 「……あれ、誰か……?」


 倉庫裏。ひとりの男が立っていた。
 黒のキャップにマスク。だがその立ち姿、空気感、すべてが“素人”ではなかった。

 悠翔が一歩後退した瞬間、男が動く。

 その腕が伸びた瞬間――


 「下がれ、悠翔!」


 鋭い声が響いた。

 凛だった。
 制服の上着を脱ぎ捨て、スカートの下に忍ばせていたスティック型警棒を手にしていた。