悠翔が、凛に歩み寄る。 あと一歩で触れる距離。 彼の指先が、そっと凛の手を取った。 「じゃあ……僕も、守られるだけじゃ、嫌だな」 「……君に何ができる」 「たぶん、何も。でも――君が傷つくなら、僕も一緒に痛みたい。 一緒に、立っていたいんだ」 その言葉に、凛の胸が熱くなる。 冷たい世界の中で、初めて誰かが、自分の隣に立ってくれると思えた。 (……もう、この関係は引き返せない)