女子高の王子様は、護る人が危なっかしくて困る




 ***


 放課後。
 校舎の裏庭でふたりきり、沈む夕日に照らされながら、凛は語りはじめた。


 「……最近、学校周辺に“不自然な動き”がある。監視カメラには映っていないが、警備範囲外に足跡の痕跡。
 そして、ある生徒の自宅に、不審な手紙が届いた。差出人は不明。ただの嫌がらせかもしれない。……けど」

 「……総理の息子である僕を狙った動き、かもしれないってこと?」


 凛は頷いた。


 「可能性はある。……それでも、私はここに残る。君の傍に」
 

 悠翔の目が、大きく見開かれる。


 「それって……」


 凛は、顔を少し背けたまま、微かに口元をほころばせた。

 「それが、私の“任務”であっても、君といたいと思ったのは――
 任務だからじゃない。……私の意思だ」