「——こういうのも、俺にとってはすごく意味があるんだ」
「……わたしにとっても、そうです」
「髪も、手も、言葉も。触れたら、ちゃんと想いが動く。——それを、澪が教えてくれた」
部屋の明かりは柔らかく、静かな夜の空気が流れていた。
どちらからともなく、ふたりの指先が再び触れる。
こんどは、手を繋ぐでもなく、握るでもなく——
ただ、互いの体温を確かめるように。
「……今日は、このまま寝ちゃいそう」
「うん。でも、寝落ちる前に、言っておきたいことある」
「なんですか?」
「……澪が俺の隣にいてくれて、嬉しい」
「……私もです」
ベッドに並んで横になったふたりは、肩が触れるくらいの距離で静かにまぶたを閉じた。
言葉がなくても、澪にはわかっていた。
神崎も、今、同じ気持ちでここにいること。



