「……神崎さんが言うと、やさしく聞こえます」 「やさしい?」 「はい。相撲の世界って厳しいし、勝ち負けがはっきりしてるのに……神崎さんの言葉には、“許す”感じがあるんです」 「……そう言ってもらえるの、嬉しいな」 ふたりの間に、そっと手が触れる。 今回は、偶然じゃなかった。 「……いい?」 「……うん」 指先から伝わる温度が、恋の気持ちをそっと、確かな輪郭に変えていく。