四股を踏む姿も、所作のひとつひとつも、テレビで観るよりずっと“重い”。
澪が思わず身を乗り出した瞬間——
「……おっ」
ぴたり、と澪の隣に現れたのは神崎だった。
「澪、蒼ノ島見つけた?」
「はいっ……! 思ってたより背が高くて、でも柔らかくて、すごく美しいです……!」
「……ふふ、そうだね。澪の“推し”だもんな」
「えっ……い、今は……神崎さんがいちばん……!」
「えっ、なにそれ聞いてない」
「ち、ちがっ、えっと……そういう意味じゃなくて……!」
「どんな意味?」
「わ、わかってください……!」
小声で口を尖らせる澪を、神崎はくすくすと笑いながら見つめる。



