「でも、赤木さんと相撲を観て、話して、笑って。——ああ、俺の“好き”は、ちゃんとここにあっていいんだって思えた」
「……っ」
「それが、すごく、うれしかったんだ。俺のことを、まっすぐ見てくれる人がいるって」
神崎は、躊躇うように一呼吸おいてから、そっと手を伸ばしてきた。
テーブルの下で、澪の手をそっと包む。
「だから……改めて、言わせてほしい」
「……はい」
「俺、赤木さんのことが好きです。もっと一緒に、いろんな景色を見たい。相撲のことも、それ以外のことも。——ちゃんと、付き合ってほしい」
言葉が、胸に落ちた瞬間、澪は思わず目を閉じた。
(……これが、こんなにもあたたかいなんて)
心の奥で何度も夢見た“その言葉”が、いま目の前の人の声で告げられている。



