「……ありがとう」 「……」 「赤木さんが、そう言ってくれて、本当に救われた」 「……」 「俺……父親と同じ職人の道を選ばなかったこと、後悔はしてない。でも、ずっとどこかで、“背中を向けたこと”に引け目を感じてた」 澪はそっと頷いた。 神崎の“過去”が少しずつほどけていくのを、静かに見守るように。