「赤木さん、……最近、気づいてるよね。俺、ちょっと避けてるみたいに見えるの」 「……はい」 「ごめん。ほんとは、そうするつもりじゃなかった」 「……」 「噂、聞こえてきたんだ。俺たちのこと。たぶん、浴衣で観に行ったとき……見られてたんだな」 「……気づかなくて、ごめんなさい」 「赤木さんが悪いわけじゃない」 「でも……私は、うれしかったんです。神崎さんと行けたこと。今も、すごく大切な思い出なんです」 「……俺も、そうだよ」 少しの沈黙のあと、神崎は続けた。