その日の帰り、澪は思い切って神崎にメッセージを送った。 「少しだけ、お話できませんか? いま、下のカフェにいます」 送信から数分。既読はすぐに付いた。 でも、なかなか返信はこなかった。 やっぱり、ダメだったかな—— そう思いかけた頃、神崎が階段から降りてきた。 「……ごめん、待たせた」 「っ、いえ……! 来てくださって、ありがとうございます」 ぎこちなく始まる会話。 澪は、胸の中でうずまく思いを、どう言葉にするか何度も迷った。 けれど、ふと神崎が先に口を開いた。