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その夜、ふたりは縁側に並んで座った。
雨は止み、夜の空には星がちらりと覗いていた。
風がまだ少し冷たかったが、不思議と寒くはなかった。
志野子は、そっと手を膝の上に置いたまま、ぽつりと言った。
「……先生」
「はい」
「もし、これからもずっと、こうして日々を過ごせたら……わたし、もう一度、自分の人生を好きになれる気がします」
惟道は、静かに頷いた。
「それは、あなたの力ですよ。誰かに与えられるものではなく、自ら灯すものです」
志野子はその言葉に、ふっと微笑んだ。
「……それでも、隣に先生がいてくれるから、わたしは灯せたのだと思います」
その微笑みは、初めてこの家に来たときよりも、ずっと柔らかく、ずっとあたたかかった。



