傘から視線を変えて三日月先輩を見る。真剣な瞳でじっとあたしを見てた。

「たぶんうちの生徒だ、調べればすぐにわかる」

「……。」

「そいつが真涼のストーカーなのか?」

「…っ」

その刺すみたいな瞳、何度見ても怖いよね。あたしもグサッてやられちゃうんじゃないかって思えて。

「三日月先輩…」

「なんだ」

「あのっ、傘持って来ました!ありがとうございました!昨日は大丈夫でした!?すごい雨でしたよねっ、ちゃんと帰れました…!?」

返そうと思っていた傘をぐぐーっと三日月先輩に押し付ける。

下を向いて、三日月先輩の顔は見られなくて。

「先輩…、やっぱりあたしの依頼受けなくていいです」

「はぁ!?何言ってっ」

「傘も!無事戻って来たんでっ、もういいです…っ!」

傘を、返せたら帰ろう。

そしたらもうここに来るのもやめよう。


もう依頼なんていいから、解決してもらえなくていいから、だから…


「よくねぇよ!勝手になかったことにすんじゃねぇーよっ!」

ぐいっと力強く押し返された。あたしの腕の力なんか意味ないくらい三日月先輩の力が強くて、カランッと傘が床に落ちた。

三日月先輩の傘が、床に転がる。

「お前がどうにかしてくれって言ったんだろうが!」

「それは…っ!前までの話で、今はもう…っ」

「じゃあ犯人はどうすんだ!わからなくていいのか!?このままでいいのか!?」

「それは…っ」

「いいわけねぇーだろ!!!」