「その依頼、理事長と関係してるか?」

「えっ、理事長と関係は…」

「理事長がストーカーしてるとか、理事長の差し金で何かされてるとか、理事長がっ」

「ないですっ」

「……。」

あ、ここはあります!って答えた方がよかったかな?
そしたら相談に乗ってもらえたかもしれなかった!?

「じゃあ帰れ」

「…っ」

「せーくんそんなハッキリ言わなくても…」

スッと空になったカップを前に出して、それを見た深谷くんがその仕草だけで紅茶のおかわりを注いでいた。
その瞬間、またいい香りが立ち込める。

「お前の依頼は聞けない」

「…。」

まだ何も話してないんだけどな、聞いてもらってすらないのに…話す前から断られちゃうんだ。

「…どうしても、無理なんですか?」

「無理だな」

「どんなにお願いしても無理なんですか?」

「無理だ。そもそもそれは俺らで解決するようなことじゃない、早く警察行けよ」

新たに注いでもらった紅茶をゴクゴクと飲んで一滴も残さず最後まで飲み干した。

理事長のことしか興味ないんだ、生徒の悩みを解決してくれるところって聞いたんだけどなぁ。


じゃあ誰も聞いてくれないの?

あたしのことなんか… 


―ガチャッ 


また扉を開ける音がした、あたし以外にここをたずねて来る人が他にもー…!?