「真涼、危ないから一緒に帰ろうって言っただろ」

「智くん…!」

下駄箱でスニーカーに履き替えて玄関から出ようとしたら呼び止められた。
一緒に帰ろうとか慣れなくて困る、勝手に顔が熱くなるから困る。

「最近ストーカーは?大丈夫?」

「あー…うん!何かされるとかないから平気だよ」

あたしが歩き出すと智くんも歩き出して、歩幅を合わせてくれるように隣を歩いて。


そんなのドキドキしないわけない。

ずーっとドキドキしてる。


ちょっと顔を上げたら智くんと目が合うんだもん。


「真涼は危機感が足りないんだよ」

コツンとあたしの頭を叩いた、もちろんちっとも痛くないし。ほとんど撫でたみたいな感じだし。

「何かあってからじゃ遅いんだよ」

「うん、そうだよね…」

ふんわり笑う智くんがあたしを見つめる。

全然ドキドキがおさまらないよ。

「俺がちゃんと送り迎えしてあげるから」