「行くぞ、旧放送室だ!」

サッと引き出しをしまって理事長室を出る。外で見張っていた燎くんに声をかけて、バタバタと走って理事長室から離れた。

「旧放送室ってどこにあるんですか?」

「この上の階だ!ちょうど理事長室の上にある、今は誰も使ってないただの教室だけどな!」

階段を駆け上がる、ダダダダッと一気に上って必死に足を動かした。

「昔はよく使ってたんですか?」

「さぁな、そこまではわかんねーけど教室はこの棟にないし、放送部でもない限り使わないんじゃねぇーの?」

「…。」

あれは、あの写真はまぎれもなく理事長と最田ふみ先生だった。
うれしそうにたのしそうに、距離だって近かった…
ような気もする。

生徒と先生、恋にダメなことなんてないって思うけど…現実はそうはいかないことあたしだってわかってる。


だから2人はこっそり会ってたのかな?

誰も来ない、来られないような場所で2人だけで…


愛を紡いでたの?


「あ、そこかな!?」

燎くんが指を差した。
その先は言われなければ物置みたいな教室で、どこにも放送室なんて文字もなかった。

たぶん外したんだ、もうここは放送室じゃないから。

三日月先輩がそっとドアノブに手をかける。

「…鍵はかかってねぇな」

キィーって音が頭に響く、あんまり使ってないことがよくわかる音がしてゆっくりドアが開いた。