ささっと理事長室の前まで移動して、様子を伺いながら三日月先輩が静かにドアを開ける。燎くんは外で見張ってるみたいであたしに中に入ってと促すから、胸を押さえながら理事長室にゆっくり足を踏み入れた。

やばい、心臓やばい。

これって本当にいいのかな?
監視カメラとかないの?

見つかったら終わりだよー!退学だよー!!

「真涼っ」

先に中に入って行った三日月先輩がこっちこっちとあたしを呼ぶ。

「そっちの引き出し探せ!」

理事長の机の引き出しの右側を三日月先輩が、左側をあたしが探すことになった。

勝手に理事長室に入って来ちゃったのもあれだけど、勝手に引き出し開けるのはもっと…
でもそんなのおかまいなしに三日月先輩はガサガサ奥の方まで探し始めるから。

いいの!?本当にいいの!?

「家にはそれらしきものは何もなかった、あるならあとはここしかない」

三日月先輩からしたら理事長はお父さん、だからこんなこともできる…のかな?
だったら理事長聞いた方が絶対いいと思うんだけどなぁ。

「三日月先輩」

「なんだ?何か見付かったか?」

「いえ、あの…」

どうしてそんなに理事長のことを嫌ってるの…?

「なんでこの依頼を引き受けたんですか?」