みんながニコニコ写ってる卒業アルバムをキッとにらみつけて、図書室の奥はあたしたちしかいないからまだいいけど。

「…ハァ、ハァ…っ」

「…せーくん大丈夫?」

あっ、すごいワーワー大きな声出してるけど風邪引いてるんだった!ぜぇぜぇ息して苦しそう!!

「あたし探します!」

はいっと手を上げて三日月先輩からアルバムを横取りするみたいに引き受けた。

あたしのせいで風邪引いたんだもん、そこはちょっと責任感じるせめて少しは役に立たないと!

「せーくん昨日あの雨の中帰ったんでしょ?」

「あぁ…」

「傘持ってなかったの?」

「別に」

……。

やばい、なんか居心地悪い展開かも。

聞いてないフリをしてアルバムをめくった。

「え、持ってたけどささなかったってこと?」

「…別に」

「なんで!?傘持ってたのになんでささなかったの!?」

おこっ、怒られる…!!!

燎くんその話はっ、その話は一旦置いといてもらえますか…!


今ここで怒鳴られたらっ


「別に」


…。

ハァーと長い息を吐いて、本棚にとんっと寄りかかった。

てっきり真涼(こいつ)のせいだー!って怒られると思ったのに。実際そうだし、あたしのせいなんだし。


なのに…


「忘れたんだよ」


それは言わないんだ。


なんで?


言えばいいのに。