打って変わってここは隠れ部…
じゃなくてトリックスター、今日は新井くんを呼んで昨日撮った花音ちゃんの写真を見せた。

三日月先輩が座るソファーのテーブルにざーっと数枚の写真を並べて、その前に座る新井くんが手を伸ばして1枚1枚写真に目を通した。

「あの、すみません…これは?」

燎くんが紅茶の準備をしてる、まだ理事長にもらった紅茶あったんだ。

そんでもってあたしはどうすればいいのかわらなくて気配を消すように壁際で立っていた。あんまり広くないこの部屋、立ってる場所もあんまりないんだけど。

「海老名花音の“火曜日”に隠された秘密だ」

「火曜日に隠された秘密…ですか?」

写真に写ってるのは人目に付かないよ必死に変装して買ってきた牛丼の入ったビニール袋を大事そうに抱きしめてる花音ちゃんで、これを見せられても頭にクエスチョンマークを浮かべる新井くんは何もわかっていなさそう。

「それは駅前の牛丼屋だ、毎週火曜日は半額デーで安く買えるから客が多い」

「あ、そうですよね!だからうちもよく買います…だけどそれが何か?」

「海老名花音もその1人だったんだよ」

新井くんの持っていた写真を1枚スッと抜き取った。写真を見ながら昨日のことを思い出すみたいに。

「毎週火曜日はこの牛丼を買いに行くために一緒に帰る誘いを断っていた、それが答えだ」