ウェルカム・トゥ・トリックスター

何を言えばいいのかわかんなくて口から出たのは探偵だった。

あれでも探偵って言っていいんだっけ?隠れてやってるんだっけ?

隠れてるのはあの部屋だけだっけ!?


あーっ 

わかんくなってきちゃった!


「真涼…」

「おーい、智希(ともき)何してんだ?行くぞ!」

「あ、ごめん!今…っ」

智くんの後ろから声が聞こえた、たぶん智くんが一緒に来た人たちだ。3人くらいの男の子たちが早く早くと呼んでいる。

「ごめん真涼、本当ごめん!じゃあっ」

「いいよいいよ!ほんとにあたしはいいから!」

ばいばいと手を振り智くんを見送ってあわててこの場を治めた。
あたしもテンパっちゃってしょうがなかったし、あと燎くんにもこれでよかったのかなって…

「あの燎くん!」

「あ、大丈夫!探偵で間違いないから」

スッと指先をキレイにそろえた手を前に出された、これ以上は何も言わないようにって止められたみたいに。

「それより緊急事態!真涼ちゃんちょっとここよろしくね!」

え、緊急事態?
って何が!?今どんな状況!?

サッと燎くんが姿を消す、人ごみに紛れるように姿をくらましてー…