咄嗟に空気を読んだ燎くんにぐいっと腕を引っ張られ人ごみの中に連れられた。
きっと思い付きで言ったであろうフライドポテトの屋台まで、燎くんが屋台のおじさんに2つくださいって注文してた。

「はい、これ真涼ちゃんの」

「あ、ありがとう…」

詰め放題用のポテトを入れる三角の紙袋をくれた。

「ごめんね、せーくんが」

「あ、ううん…燎くんが謝ることじゃ」

燎くんが目の前の揚げたてのポテトをスコップですくって詰めていくから、あたしも同じようにスコップでポテトをすくった。

「すぐ思ったこと言っちゃうけど、悪い人じゃないんだよー」

燎くんの三日月先輩へのフォローを聞きながら。

「ちょっと人の心ないけど」

「それは問題じゃない!?」

しかもにこって笑顔で言われたんだけど。
それはそんな笑って言うことじゃない、でも燎くんはそれがいいみたい笑って。

「目つき悪いし言うこときついし、人の気持ちわかんないことあるけど」

「…。」

「本当に冷たいわけじゃないよ」

…そうなのかな?
まだあたしにはわからないけど、三日月先輩のことよく知らないし。

「本当に困った時は否定しないで聞いてくれるから」

この先、三日月先輩のことを知る日が来るかもわからないけど。

「探偵に向いてるよね~!」

燎くんはそんな三日月先輩を知ってるんだ。

「燎くん…」

「ん?」

「ポテト詰めるのうまいね」

「オレ超得意なの!」