え、紅茶が嫌い?

取り出した上履きに履き替えて、顔を上げたら燎くんと目が合った。

「そうなの!?この前飲んでたよね!?理事長にもらったとかって…」

「そ、理事長にもらったやつ~♬」

…それってつまり、三日月先輩のお父さんだよね?
お父さんがわざわざ子供の嫌いなものをあげたってこと…?

「せーくんはブラックコーヒーが大好きなの!」

燎くんが教室の方へ歩き出したから追いかけるように私も歩き始めた。あたしたちの教室は階段を上がった2階にある。

「でも理事長は紅茶をくれるんだよね、それは何でだと思う?」

階段を数段が立ったところでくるっと振り返って人差し指をスッと立てた。

それはなんで…だろう、なんでそんな嫌がらせみたいなこと…

「まぁオレも知らないんだけどね」

またくるっと前を向いて一歩階段を上がる。

「せーくんも理事長のバカでかい闇を探って叩きつけようとしてるし」

「……。」

「理事長もせーくんの嫌いな紅茶差し入れてくるし、でもそれで成り立つものがあるんだよね~!」

…?

成り立つもの?何が成り立ってるの??

「真涼ちゃんは紅茶好き?」

「え、うん…あたしは好き」

「まだあの香りのすごい紅茶あるから飲んでよ、全然飲み終わらないぐらい大量に差し入れてくるから理事長!」

「理事長もなかなかだね…」