「特に情報は集まらなかったかな~」

深谷くんの女装にもすっかり慣れて来た今日この頃、あたしもあたりまえのようにトリックスターに入り浸っていた。

だって手伝えって言われたんだもん、放課後行かなかったら行かなかったで三日月先輩怖そうなんだもん。

「まだちょっと話したぐらいじゃ深い話までしてくれないよねぇ、彼氏がいるとは教えてくれたけどもう少し距離近くならないと無理かなぁ…」

今日も女子の制服を着たかがりんがあごに手を当ててうーんと唸りながら考えている。

もう1週間、花音ちゃんと仲良くなろう作戦をしてるけどそれっぽいことは何もないらしい。

てゆーかそれは別に浮気してないんじゃないの?って私は思うけど。

「この1週間で海老名花音が新井の誘いを断って1人で帰ったのは1回らしいが…、その1回が火曜日だった」

「火曜日?」

「その前も火曜日だったらしい」

「そうなんだ!じゃあ火曜日に何かあるってことかな~」

「その可能性が高いがー…」

三日月先輩がはぁっと息を吐いてソファーに座った。新井くんから聞いた話をまとめたタブレットを見ながら眉間にしわを寄せてそのお顔もすごく怖い。

「何があるかはわかんねぇな、今のところ」

「それは学校以外でも調査した方がいいかもね」

「今週からは範囲広げるか、お嬢様の帰りを尾行すんのはこっちもリスクあるけど仕方ねぇ」

「わかった、じゃあさりげなく下駄箱で会うよう仕掛けてみようかな火曜日に!」

「あぁ、それで」

尾行してるのがバレたら怒れられるのはこっちらしい、それはそうだよねそれこそストーカーだもん。
だからできたら校内で探りたかったらしいけど、なんの情報もつかめないから花音ちゃんが1人で帰るところをつけていくしかないらしい…