ガチャッとドアが開いて三日月先輩がやって来た。
一瞬あたしの方を見て、瞬きをした次の瞬間には深谷くんの方を見てた。


…あたしのことなかったことにしたよね?


「せーくん~!どう、完ペキじゃない?」 

「おー、完璧完璧」

「じゃあちょっと行ってくるね!」

「あぁ、任せた」

…?

長い髪をなびかせて制服のスカートをヒラッとさせた深谷くん…かがりんが出て行く、タタタッと階段を登って地上まで。

え、そのままの姿で行っちゃうんだ?それ女装だよね?いいの!?

バタンッとドアが閉められた。

このちょっとばかし狭い空間に三日月先輩と2人になった、三日月先輩と2人…話を聞いてもらうために来たんだけど、なんか気まずいかもっ

「真涼」

えっ、名前呼んだ!?

しかも呼び捨て…!

「だっけ?お前」

「…はい、古川真涼です」

呼ばれたわけじゃなくて確認か、てゆーか名前もちゃんと覚えられてなかったんだ。まったく依頼聞く気なさそうじゃん。

「お前にも手伝ってもらうから」

「え?」