なんであたしの依頼は断って、新井くんの依頼はお嬢様ってだけで引き受けるのかやっぱり納得できなくて。

もしかしてあたしのストーカー相手だってお嬢様かもしれないし、御曹司かもしれないじゃん。


そんなの諦めきれない…!


「相談聞いてくだ…っ」

トリックスターのドアを勢いよく開けた、もう一度ちゃんと聞いてほしくて…


だけど目の前に知らない女の子がいたから。


しかもすごくかわいい、きゅるんとした瞳に色白の透き通るような肌とつやつやしたほんのりピンク色の唇が愛らしい女の子が。

今日も依頼人の子来てるんだ!どこかのお嬢様かな?

こんなに見付けにくいところにあるのに、ここへ来る人は案外いるんだなー…

「あ、古川さんいらっしゃい!」

だけど、その声はどこかで聞いたことがある。いや、散々話した声な気がする。


いや、この女の子の正体って…

「深谷くん!?」

紛れもなく深谷くんだ!


この瞳、肌の色、唇はリップ塗ってるし頬もまつ毛もまぶたもメイクしてるしウイッグ付けてるからすぐにはわかんなかったけど深谷くんだ!


「深谷くんじゃないよ、かがりんって呼んで~♬」

「……。」

女子の制服着てるから本当に女の子かと思った。女の子みたいにかわいいもんね、深谷くんは。

てゆーかなんで女子の制服着てるの!?

「燎準備できたか?」