わかりやすくずーんっと新井くんが沈んだ、それにはあたしも深谷くんも一緒に困った顔をしちゃった。三日月先輩は一切表情筋仕事してなかったけど。

「マジですげぇ恥ずかしくてやめてくれよって…」

それはお気の毒だね、初めて彼氏の家遊びに行って出て来たのがチェーン店の牛丼って…悪くないんだけど、あたしは好きなんだけど相手はお嬢様だもんね…?

「だけど花音はおいしいねってよろこんでくれて」

花音ちゃんいい子…!!!

「うれしかったです」

キュンとしちゃった!すごいいい子じゃん!

「だから…」

新井くんが膝の上に置いた握りこぶしをぎゅーってさせた、力が入るさっきまでほころんだ顔で花音ちゃんのことを話してたのに。

「そんな花音が浮気してるかもしれないって思ったら…っ」

…そうだよね、悔しいしかなしいよね。
そんなに想ってる人が浮気なんて、思いたくないよね。

「だからお願いします!海老名花音の浮気調査をお願いしたいです!」

でもこの探偵事務(トリックスター)、理事長関連のことしか依頼受けないらしいからね。

理事長を潰すことしか考えてないらしいからね、個人の浮気調査なんて引き受けてくれないよ?

かわいそうに新井くん、あとであたしが代わりに話を聞いてあげるから…

「わかった、引き受ける」

「ぶっ」

「あぁっ古川さん大丈夫!?」