「智くん、ごめんねあたし…っ」

もう泣きたくない、泣いたら声が出なくなっちゃうのに。

それでも言わなきゃいけないことがあるから…

「あたしと別れてください」

少し驚いた顔をした。
だけど泣いてるあたしを見て、智くんは笑ったの。


いつもの優しい微笑みで。



智くんにお別れをした。

ごめんねってお別れをした。


そしたら…



「幼なじみなことは変わらないからお別れじゃないよ」


って言われてまた泣いちゃった。



そんな智くんだから好きだったんだよ。


大好きだったの、ずっとずっと大好きだったの。


智くんに好きだよって言われたかった。

言ってほしかったんだ。



叶わぬ夢だったけどね…?





「あぁ、でもかなしい~…」

ズビッと鼻が鳴る。


お別れした後にすぐには帰れなくて、だって帰り道一緒なんだもん。

会っちゃうんだもん。気まずいじゃん。


ちょっとだけ学校で時間つぶして帰ろうと思ってグラウンドの方へやって来た。
グラウンド場へ続く階段の隅っこ、誰にも見えてなさそうなとこでこっそり座って。

ちょっと芝生になってるのも座りやすいし天気がいい今日は部活に励んでる人もいていい感じに気が紛れる、たぶん。たぶん…


でもやっぱ涙は出て来ちゃうなぁ。

膝を抱えて顔を下に向ける、どうしたって我慢できない涙を流して。


それでもこれでよかった。

ちゃんと終わらせることができた、そう思って…


「そんな泣くなら別れなきゃよかっただろ」