三日月先輩の低い声はずしんと重い。

息がしにくくなりそうだ。


顔を隠して泣いてる雨花先輩を前にあたしは何を言えばいいのかな?

何を言ったらいいんだろう?


何も言えないー…


「仕方ない、これからどうしたらいいか1つ教えてやろう。俺も鬼じゃない」

え?十分鬼みたいな顔してましたよ…

「だけどそれで真涼と友達になれるとは思うな、あくまで“今”蔵井がすることだ」

三日月先輩がフッと息を漏らした、雨花先輩を見てふわっとした声で。

「ちゃんと真涼に謝るんだ」

その声は優しくて、らしくない…
ううん、三日月先輩らしいね。


そうやって最後には光りをくれるところ。

すごく三日月先輩だ。


だって心がほっとするんだもん。


雨花先輩がゆっくり顔を上げた。

おそるおそるあたしを見るみたいに、その表情にはあたしも戸惑ってしどろもどろしちゃった。

「真涼ちゃん…」

「…。」

「ごめんなさい…」

ゆっくり目を合わせたの、それで静かに頭を下げた。

「嫌な思いさせてごめんなさい」

雨花先輩の長くて真っ黒な髪が下に落ちる。
ぐっと下ろした頭を見て、あたしもやっと声が出せた。

「雨花先輩…、あたしもごめんなさい」