響く、三日月先輩の声が。
隣で燎くんが心配してくれてる。

怖かった気持ちか少しずつ和らいでいくから…

震えていた体がおさまっていく。

「真涼ちゃんっ、大丈夫!?ごめんね、私助けられなくて…っ」

おさまっていく、はずだったんだけどあんなに大声で叫んだ三日月先輩を無視してあたしの前にしゃがみ込んだから。

「どこか痛くない?頭は!?打ってない!?起きても大丈夫なの?」

「ちょっと何して…っ」

燎くんも目を丸くしてた。
雨花先輩を止めようとして、手を伸ばしたけど…

「保健室行った方がいいよね!?あ、でも歩けないよね?えっと先生を…っ」

雨花先輩には見えてないみたいで、三日月先輩も燎くんのことも。

あたしのことしか…

「ねぇ全然せーくんの話聞いてないよ」

「聞けよお前!!!」

あぁっ

三日月先輩がご立腹だ!
ギュイーンって眉吊り上がっちゃってる!

「蔵井雨花!お前いじめをやり返すならっ」

「違います…っ!」

背中越しに答える雨花先輩は小さくしゃがみ込んで下を向いた。

初めて三日月先輩に返した、言葉を。

「いじめてなんかないです…、私はっ、私は…いじめにあってても真涼ちゃんにはそんなことしてないです!そんなことするわけっ」

「じゃあなんだ?真涼につきまとって、ストーカーまがいなことをして苦しめてるじゃねーか!」

「…でもしてないです、してないんです」

ふるふると震えながらきゅっとスカートの裾を掴んで立ち上がる、三日月先輩の方を見て叫ぶ。

「真涼ちゃんをいじめようなんて思ってないですっ」

うわぁんと声を出して、ポロポロと涙を流して…わんわんと雨花先輩が泣き始めるから。さっきまであんなに怒ってた三日月先輩もそれには圧倒されちゃって。

「…なんか思ってたのと違くない?」

燎くんがあたしたちの気持ちを代弁してくれた。