「隠れ部はここで合ってますか…?」

男の子が入って来た、上履きを見るとえんじ色であたしとおんなじ中学2年生だ。

「トリッ」

「そう!そうでーす、いらっしゃいませこちらへどうぞ~!」

深谷くんが三日月先輩の口を無理やりふさいだ。相変わらず三日月先輩はギロッてにらんでる。

「せーくん、とりあえず依頼人の話を聞こ!これ部活動だからね、活動報告ゼロだとこっちが潰れちゃうからねぇ~」

こそこそと何か言いながら三日月先輩をなだめて、サッと自分が座っていたイスを男の子に渡していた。

ぺこっと頭を下げた男の子がゆっくりイスに座る、その隣で帰ることができなくて座ったままのあたしをチラッと三日月先輩が見たけどすぐに視線をそらされた。

「あ、紅茶飲める?オレ2年の深谷燎、3年の三日月世伊くん…で、こちら偶然居合わせた古川さん」

すごい変な紹介のされ方!

偶然居合わせたわけじゃないけど、あたしも依頼人なんだけど…ここで何か言うのはまたあれだからはいって頷いといた。

「2年3組新井壮馬(あらいそうま)、です」

「これ理事長にもらった紅茶だからおいしいよ~」

「あ、ありがとうございますっ」

すぐに新しいカップを取り出して紅茶を注いでテーブルの上に置いた。座るところがなくなった深谷くんは三日月先輩の座るソファーにちょこんっと入り込むように座った。

…てゆーかこの探偵事務所って依頼人じゃなくて探偵側がソファーに座るスタイルなんだ?別にいいけど…。

「依頼内容は?」