その夜、リシェルの元に一通の手紙が届いた。 差出人は、王宮の侍医──元々、リシェルの母の知人でもあった人物だ。 《“王家の血”に関わる記録が、王宮の古文書庫に隠されています。 この事実を知るのは、あなたと、あの方だけにしてください》 その文面に、リシェルは静かに決意する。 「私……行くわ、文書庫に。 この国の未来も、あなたとの未来も、偽りの上には築けない」 そして彼女は、カイルに言う前に、ひとり夜の王宮へと向かった──