深夜1時のミルクティー

朝まで泣いてると思っていた私はどこにもいないことに、自分でほっとする。

(塩谷君とモチのお陰だね)

そして私が鞄にスマホを仕舞うと同時に、塩谷君が目を擦りながらムクっと起き上がる。

「あ、おはよう御座います」

「えっと、おはよう」

「……なんか、変な感じですね」

「そう、ね……。それに気づけば朝というか、もうお昼近いし」

始発で帰るつもりがすっかり長居してしまった。塩谷君がメガネをかけると立ち上がる。
 
「とりあえずミルクティーでも飲みます?」

「あ、私いれるよ」

「え、なんでですか」

「お礼したいなって。あとなんか冷蔵庫にある?ご飯作るけど」

「いいんですか!」

子供みたいな笑顔を見せた塩谷君に思わず笑う。

「あ、すいません。俺、料理苦手でいつもコンビニ弁当ばっかなんで」

「私も簡単なのしか作れないけどね。お昼にはまだ早いし、そこにある食パンでフレンチトーストしよっか」

「俺、めっちゃ好きです」

「知ってる、甘党だよね。いつもミルクティーだし、たまのコーヒーにも必ずミルクいれてるしね」

塩谷君が耳まで赤くすると口元を手で覆う。

「めっちゃハズいですね」

「どうして? 可愛いと思うけど?」

「あー、それ男は言われて嬉しくないんですけど」

「あはは」

思わず声を上げて笑った私を見ながら、塩谷君が苦笑いをしている。

(不思議……ちゃんと笑えてる)