二年目の冬。
透真は都心の実家を出て、地方の町に移住した。
知り合いもいない、静かな町。
コンビニも一軒、図書館も週に二日だけ開く──そんな土地。
最初は仕事をしながら、夜はとにかくギターを弾いて過ごした。
学生の頃に奏音が「それ、好き」と言ってくれた弾き語りの曲を、何度も指でなぞる。
誰もいない部屋で、奏音の名を呼びたくなる夜が、数えきれないほどあった。
──けど、ある日、気づいた。
「寂しい」と思う自分が、少しだけ変わってきている。
前は「いないとダメだ」と泣きたくなった。
でも今は、「会えたらいいな」と、そう思えるようになった。
それはきっと、彼女を失っても生き延びた日々が、透真を強くしたからだ。



