あなたがいないと、息もできなかった。



 再会のあと、毎日連絡はしなかった。
 だけど、ほんの短いやり取りでさえ、胸が熱くなった。

 あの頃の「繋がっていないと不安」な感情とは違う。
 “会いたいけど、会えない時間も愛しい”と思えるようになっていた。

 

 ──そして、再び、春が来た。

 透真に誘われた夜桜の道。

 何も言わず、ただ彼の横を歩いた時間。

 私が選び直すとすれば、今しかなかった。

 

「……私は、もう依存してない。でも、それでも──あなたを、また好きになってしまいました」

 

 その言葉に、透真が泣きそうに笑った。

「俺も。ずっと、好きだった」

 

 過去ではなく、いま。
 依存ではなく、選択として。

 私たちは、もう一度、出会い直したのだ。

 

       終わり