二年目の秋。

 友人から「いい人紹介しようか?」と笑われて、首を横に振った。

「好きな人がいるの?」

 そう聞かれて、「ううん、いないよ」と答えたけれど、本当はいる。

 透真が好きだ。
 今も、変わらず。

 ただ、それを「伝えてはいけない」と、ずっと封印していた。
 だって私は、自分から離れたのだから。

(勝手だよね)

 夜、カーテンを開けて月を見ながら、ふと名前を呼びたくなる。

「……透真くん」

 誰もいない部屋で、ぽつりと名前を口にする。
 涙は出ない。ただ、寂しいだけ。