その名前呼びは、反則。

本当は分かっている。

自分は口下手なくせに相手には「傷つく言葉を言って欲しくない」なんてどれだけ傲慢か分かっている。

それでも勝手に私の口は強がった言葉を吐いてしまう。


「なんで話しかけてきたの。メッセージブロックしたの気づいているでしょ?」


私の言葉に桐谷くんは「そうだね」と笑った。

「でも琴ちゃんは俺に会いたくなかった?」

「っ!」

答えられない私を見て、桐谷くんは暫く何も言わなかった。

それでも意を決したように口を開いた。