いつか「ほんと」になれたら

少し緊張しながらも、五感を研ぎ澄ませる。

 咲凜は、どこにいるの?
 一刻も早く見つけたい。
 

 しばらくじっとしていると、ふいに聞き慣れた大好きな声が響いた。
 なのに、いつもは明るかったその声色は沈んでいる。 

 
「相変わらずだよ。早く会いに行けばよかったって思ってる」

 
 咲凜は悪くないよ。


 早く会いに行けば良かったのは、僕だって同じ。
 きっと咲凜は僕を避けたことに罪悪感を感じているんだと思う。


 でも、咲凜は忙しかったんでしょ?
 毎晩ワークが終わらないって泣いてたよね。
 それでも自分を責めるの?

 それに僕も夢の中で咲凜を避けた。
 だからお互い様。
 
 
「やっぱり、叶わない恋だったんだよ」
「そんなことないよ」

 
 叶わない恋、だなんて僕がもう二度と言わせない。
 暗い気持ちにもさせないし、絶対に幸せにする。


 そのために僕はここまで来たんだ。
 
 ゆっくりと、でも着実に目の前を覆っていた光のベールが解けていく。
 僕が最初に見たのは、焦がれ続けた少女の姿だった。