いつか「ほんと」になれたら

 
「気にしてないから大丈夫だよ。僕の方こそ避けちゃったことも、本当にごめんね」
「わたしも気にしてないよ。えーっと……もうお互い様ってことで!」
 

 何も言わずにわたしを見守ってくれたエリックに、ひとことの謝罪もしないのは違う気がして。
 エリックが謝っているのは、かつてわたしの言葉を遮って、魔法で眠らせたことだろう。
 

 お互いに言いたかったことも言えて、相手に対する申し訳なさも消えた。
 この先、わたしたちは変に遠慮することもなく、やっていけるんだろうなと思っている。

 
「咲凜、そろそろ出発する?」
「そうだね。じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」

 
 大丈夫、あの日のわたしとは違う。 
 今のわたしには、「おかえり」をくれる人がこんなにもいる。
 いつでも帰れる居場所も増えた。

 そして、何よりエリックがいる。
 

 これからわたしは、自分の中で欠けた最後のピースを返しに行く。 
 きっと、燐人くんとも仲直りできる。