いつか「ほんと」になれたら

 わたしの腰を抱き抱えたままのエリックが、できたてのクッキーの数十倍甘い笑みを浮かべる。
 エリックの透き通る瞳を見ていると、どんな奇跡も起こる気がするから不思議。

 明日の天気はユニコーンだと言われたとしても、速攻で信じてしまう気がする。
 
 
「どういたしまして。これからも側で守らせてね」
「うん…! よろしくね」


 水月さんの旦那さんに借りた服を着ていても、ここがキッチンでも、その姿は王子様そのものだ。

 キッチン…。そうだ。
 すっかり2人の世界に入り込んでしまっていて、すっかり忘れていた。
 錆びついたロボットのように、恐る恐る後ろを振り返る。

 そこには予想通り、口角の上がりきった純恋さんと、居心地の悪そうな艾葉ちゃん、そしていつの間にか現れた芽蕗ちゃんがいた。
 

「あ……えーっと」