「生地を混ぜるのって、こんなに大変だったんだ…」
「力仕事は僕がやろうか?」
「でも、さっきからエリックに頼りっぱなしで申し訳ないよ」
今作っているクッキーは、ネットには簡単と書いてあったはずなのに、実際にやってみるとかなり大変だ。
こういうのをさらっと作ってのける燐人くんの器用さを、わたしは思わぬ形で知ることになった。
「僕は体力も有り余ってるから大丈夫。咲凜はゆっくりしてていいよ」
「ほんと!? …でも、お世話になったお礼だし、やっぱり自分でやってみる」
「分かった」
エリックの気持ちは嬉しいし、わたしとしては渡りに舟だからありがたい。
だけど、これはわたしから純恋さんたちへの恩返しなのだ。全てをエリックに頼ってしまっては意味がない。
その一心で、ひたすら生地を混ぜ続けた。



